どんな問題が起きてくるのか
睡眠時無呼吸症候群を治療せずに放っておくと、どのような問題が起こると思いますか。
まず、睡眠時無呼吸症候群特有の昼間の眠気です。
十分な睡眠が取れていないために、普段起きていなくてはいけない場面でも、眠気が襲ってきてしまうのです。
たとえば重要な会議中、乗り物の運転中、緊張のおける作業中など、こうした場面で突然寝てしまったら大きな交通事故や労働災害につながりかねません。
また、脳に酸素が十分届いていませんので、頭の働きも鈍ってきます。
記憶力の低下や仕事の効率、生産性の低下、ミスを何回も起こすなど、社会生活において様々な問題を引き起こします。
実際の調査では、睡眠時無呼吸症候群と診断された人の運転による交通事故発生率は、健康な人のおよそ7倍という驚くべき事実がわかりました。
また、最近の研究では昼間の眠気などの問題だけではなく、生活習慣病、さらには命にかかわるような心臓病、脳卒中などとの間に密接な関わりがあることが明らかになってきました。
睡眠時無呼吸症候群は高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームといった生活習慣病を高い確率で合併することが報告されています。
そのほか不整脈や狭心症、心筋梗塞、心不全などと関係があることも報告されています。
逆に生活習慣病の患者さんを見ると、メタボリックシンドロームではおよそ60%、高血圧では37%、糖尿病では36%にこの睡眠時無呼吸症候群が合併しているというデータもあります。
睡眠時無呼吸症候群を治療しないでおくと、どうなると思いますか。
睡眠時無呼吸症候群の重症度が高い人の場合、それを治療せずに放置しておくと、重症度が低い人に比べて生存率が低下し、長生きできないことは以前より知られていました。
無呼吸が続くと、血液中の酸素が欠乏し、それが繰り返されることによって動脈硬化や血圧の上昇など、からだに様々な悪影響をおよぼし、心臓に大きな負担がかかるのです。
実際に睡眠時無呼吸症候群を治療せずに放っておくことで、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる病気を起こす危険性が高まることが明らかになっています。