睡眠時無呼吸症候群の治療法
睡眠時無呼吸症候群の方は、ご自身に悪影響を及ぼすほか周囲の方へも影響が及びます。いびきや日中の眠気など、睡眠時無呼吸症候群と疑われる症状が現れたら、早めに医師ご相談ください。当院では、それぞれの原因を究明し、患者様にもっとも適した治療をご提案します。患者様が睡眠中どんな状況になっているか各種検査(血圧、脈拍、脳、無呼吸状態など)をする必要があるため、当院は専門の検査機関をご紹介しております。
【まずは重症度を調べることから】
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中1時間のうちに呼吸が止まったり(無呼吸)、喉の空気の流れが弱くなったり(低呼吸)することが5回以上起こる状態です。この1時間あたりの回数を「無呼吸低呼吸指数(AHI)」といい、重症度を判断するときに使用します。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、その重症度によって異なるため、個人差があります。当院では、まず患者様の重症度を調べてから最適な治療をご提案しています。
AHIが5~15回 軽症 今すぐ命にかかわるわけではありませんが、日常生活に何らかの支障をきたす恐れがあるため、比較的簡単な治療をご案内しております。
AHIが15~30回 中等症 命にかわる全身疾患につながる恐れがあるため、早めの治療をご案内しています。
AHIが30回以上 重症 血液中の酸素濃度が正常の9割以下になる時間が、一晩で45~130分にも及ぶうえ、日常生活にも頻繁に支障が出る可能性が高くなります。直ちに治療をご案内しています。
マウスピース(スリープスプリント)
無呼吸やいびきは、寝ているときに筋肉がゆるんで重力が加わり、下あごが下がるとともに舌も奥へと入り込み、気道が圧迫されることで起こります。それを防ぐために用いられるのが、マウスピース(スリープスプリント)です。
マウスピースは下あごを少し前に出した状態(受け口のような状態)で上と下の歯を固定するため、重力が加わりやすい仰向けで寝ていても下あごが下がらないようになります。すると気道が十分に確保され、空気の通りが楽になり無呼吸やいびきが起こりにくくなるのです。
当院での治療は、症状に関係なくマウスピースを用いています。なお、内科、耳鼻咽喉科等での診療情報提供書をいただいている場合にのみ、保険適用で11,630円から治療できます。
※診療情報提供書がない場合は、自費診療扱い(25,170円から)になります。
重症の方もご安心ください
重症だがN-CPAPがどうしても使えない方、旅行にN-CPAPを持っていけない方、N-CPAPが面倒で装着せず寝てしまう方等、マウスピースと併用することも可能ですので、一度ご相談ください。
1. 朝まで装着を心掛ける
マウスピースに慣れるまで時間がかかると思いますが、できるだけ朝まで装着してください。
2. 昼過ぎまで続く違和感は早めに相談
起床時に歯が浮いたような感じや歯の圧迫感、あごの関節の違和感があることがあります。
朝食後までは歯やあごに問題がないか様子を見てください。
ただし、2週間~1ヶ月使用し、昼過ぎまであごの違和感が残っている場合はご連絡ください。
3. あごの違和感は練習で慣れる
起床時、マウスピースを外したときに奥歯が咬み合わないようなあごの違和感が強ければ、朝食前に10回ほど奥歯でカチカチと咬んで慣らしてください。また、あごがだるく感じられたら、耳の下の関節付近をマッサージしてみてください。だるさ改善に効果的です。
4. マウスピースの使用法・保管法
・使用後は、ご自身の歯を磨くように歯磨き粉を使用し洗浄してください
・変形する恐れがあるため、熱湯の使用は避けてください(60度程度が限界です)
・使用しないときは水を入れた容器の中に装置を入れて保管し、乾燥を防いでください
5. マウスピースは定期的に調整
マウスピースは徐々に効果を上げていく超療法です。定期的な効果測定をお勧めいたします。
N-CPAP
「CPAP」と呼ばれる装置と専用のマスクを使った、中等症~重症の場合に用いられる療法です。睡眠中に鼻から圧力をかけて気道を常に開いた状態にし、空気の通りをよくして無呼吸を改善します。気道を開いた状態にするために必要な圧力は患者様によって異なります。患者様の睡眠状態を確認しながら無理のない必要最低限の圧力を決定します。
副作用が少なく、はじめたその日から無呼吸やいびきの改善が期待できます。また、心筋梗塞や脳卒中などの生命にかかわる全身疾患の発生リスクが軽減されることが明らかになっています。