睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状として、大きないびきが挙げられます。いびきとは、呼吸によって空気が通るときに気道の中にある粘膜が振動して音が鳴る現象。睡眠時無呼吸症候群といびきの関係は密接であり、睡眠時無呼吸症候群の患者様のほとんどが大きないびきをかいているといっても過言ではありません。「ただのいびき」と侮ってはいけないのです。

いびきのメカニズム

人それぞれにいびきが出る原因は違いますが、音の出るメカニズムは同じです。いびきは、睡眠中に舌を支える筋肉がゆるんで重力により下あごが下がり、空気の通り道である気道が狭くなることで起こります。空気抵抗が大きくなることで気道の粘膜が振動し、いびきが生じるのです。

【気道が狭くなる先天的な要因】

気道は元々が幅の狭い器官で、筋肉によって支えられているのですが、睡眠時になると全身の筋肉がゆるむため上気道の筋肉がゆるみます。下記のような先天的な要因がある場合、さらに気道が狭くなり、いびきが発生しやすくなるのです。
・あごが小さい。または後退している
・気道の断面積が元々小さい
・鼻の空気の通り道(気道)が曲がっている
・扁桃が大きい
・アデノイド(咽頭扁桃)がある
・睡眠時に喉が塞がりやすい

気道が塞がれてしまう要因とは

仰向け:仰向けになると重力の影響で舌の肉などが沈降して気道を塞いでしまいます。
※当院では、横向きで寝ることを推奨しています。
アルコール:アルコールを過剰に摂取すると、舌を支える筋肉がゆるみ、重力の影響を受けやすくなります。
薬:睡眠導入剤を利用することで、アルコールと同様に筋肉の緊張がゆるんでしまいます。
老化:上気道の筋肉が老化現象によってゆるんでしまいます。
鼻腔、喉、口腔の異常:鼻中隔湾曲などの形態的異常や、呼吸筋の異常などの場合、上気道を狭める原因になります。
※なお、アルコールや薬は、脳を過度にゆるめ、睡眠時に無呼吸になったときの防衛反応を遅らせるリスクも持っています。