睡眠時無呼吸症候群(SAS)は現代社会において深刻な問題となってきています。
2003年の新幹線居眠り運転事故を機に、ご自身またはご家族の方がSASではないかと心配され、関心を持たれる方が増えております。
現在、日本でのいびき人口は2,500万人を超え。そのうちSASの患者さんの数は300万人超とも言われております。
SASの患者さんに交通事故が多いのは今に始まった事ではなく、十数年前より指摘されておりました。
今後、あらゆる運転にかかわる職業(バス、トラック、電車、タクシー、一般、飛行機など)、機械作業、その他色々な職業の方になんらかの検査が義務づけられる日もそう遠くないと思われます。
どのように無呼吸が起こるのか
仰向けに寝ていると口を少し開け、下アゴが下がった状態で大きないびきをかいている方が多くいらっしゃいます。
この状態は、睡眠中に舌をささえる筋肉がゆるみ、重力により下アゴが下がる舌根部と口蓋部が空気の通り道を塞ぎ、いびき、無呼吸が発生するのです。
このようなタイプのSASの方はマウスピースにより改善が十分に見られると統計的に考えられております。
無呼吸症候(SAS)の症状
■大きないびき
■日中の眠気
■夜間、息苦しくて起きる
■寝起きの頭痛(睡眠中の酸素不足のため)
■朝、起床時の口のかわき
いびきと睡眠時無呼吸症候群(SAS)
両者の関係は大変密接であり、SASの患者さんのほとんどが、大きいいびきをかいていると言っても過言ではありません。
たかがいびき、されどいびきです。呼吸が止まるほどのいびきをかいている人は用心が必要です。
主な治療法
■N-CPAP(ネーザルシーパップ)と呼ばれる「鼻に陽圧空気を持続的に送り込むマスクを着ける」方法
■マウスピースを口の中に装着し、気道を広くして無呼吸を起きにくくする方法
軽症~中程度のSASの方のマウスピースは手軽で効果もあると考えられますが、重症の方の場合、あくまでCPAPが第一選択となります。
どの程度(レベル)のSASかということを専門的に行っている医療機関で検査をお受けする事をお勧めいたします。
マウスピースってなに?
寝ている時は、筋肉がゆるみ、重力も加わり、下アゴが下がり、舌も奥の方へ入りこみ、気道が圧迫されるため、いびき、無呼吸が起こります。
それを防ぐためにマウスピースを使います。
このマウスピースは、下のアゴを少し前に出した状態で上と下の歯を固定してしまうため、どんなかっこうで寝ていても下アゴが下がらないようになります。
それにより気道が確保され、いびき無呼吸が起こりにくくなります。
簡単に分かる方法として、ご自分の下アゴを前に突き出して受け口の状態にしてみて下さい。
その時、舌も前に出して、上の前歯に少し触れる位置に置いてみて下さい。
そして唇を閉じて、鼻でゆっくりと呼吸してみて下さい。
空気の通りが楽になっているのが実感できるはずです。
出張や旅行にマウスピース
軽度~中度の無呼吸症候群の方がマウスピースを使用することで、かなり良い結果が出ております。
しかし、中度~重度の無呼吸症の方の第一選択はあくまでも、N-CPAPであると考えられております。
ですが、何らかの理由でN-CPAPがうまく使えない方、出張が多い方、旅行に出かける時、寝返りのためマスクがうまく機能しない場合、睡眠中に途中で起きてしまい、その後マスクをはずしてしまう方などは、マウスピースを使ってみてはいかがでしょうか。
何もしないで寝返るより少しでもお役に立つはずだと確信しております。